司法書士の関根陽介でございます。
私は司法書士業の他に原野商法被害に対する対処法として、『不動産引取サービス』を提供しております。
サービス開始のきっかけは、『原野商法被害の土地』は相談を受けることは多いけれど、ほぼ解決不能。処分はできない。
相続土地国庫帰属制度という制度は始まったが、『原野商法被害の土地』はほぼほぼ対象にならず、国は何も解決してくれない。
そのような状況を看過できず、ビジネスの力で何とかできないかと不動産引取サービスの提供に至りました。
弊社は公図で座標もないような山林の1筆や原野の1筆を沢山所有しています。
殆どの土地が人間が立ち入ることが不可能な土地ばかりです。
こうした土地は、所有していることさえ忘れているご相談者様も多いです。ある日権利証を見つけて所有していることを知ったというお客様がかなりいます。
このような土地は、こまめな管理が必要で負担が生じる・・・というよりも『相続によって名義が分散する問題』の方が私は大きいと捉えています。
個人名義だと『相続による負の連鎖』は一生続きます。どこかで処分しなければ子孫まで一生続く問題となります。
対して法人名義(株式会社)であれば、相続は発生するが、土地の相続ではなく『株式』の相続になります。
私はここに可能性を見出していまして、会社自体があらゆる方法で利益を生み出していくことができれば、弊社の土地を買ってくれる人はいなくても、『株式』に興味をもってくれる人はいるのではないだろうか、と。
そのため、弊社は不動産引取サービスを通じて得た売り上げで、新たなる事業投資を行い、会社の利益拡大を目指していきます。
その結果、将来的には、土地の処分ではなく、『株式』の処分ができるような状況を目指していきたいと考えております。
さて、前置きが長くなりました。
私は不動産引取サービスを通じて、これまで多くの取引を行ってきましたが、記憶に残った事例を3事例ほどご紹介したいと思います。(勿論個人情報等は出しません。)
ニセコ、蘭越町エリアの山林のお引き取り
ニセコ、蘭越町エリアの山林の処分について、同業の司法書士の先生より、何とか解決できないかとお問合せをいただきました。
事例としてはシンプルに所有者が高齢になってきて、相続で揉める前に手放させてほしいというもので、積極的に処分したいとおっしゃっていたのはご長女様でした。
ニセコ、蘭越町エリアの山林は公図の座標がない土地も多いので、土地の所在調査には苦労をしましたが、地番図等を調査することで、何となくこの周辺だとあたりを付けることができ、お引き受けをさせていただくこととなりました。
所有者様が札幌の近郊の市にいらっしゃいましたが、脚がかなり悪く歩くことが難しいということでしたので、本来であれば司法書士の先生からの紹介案件の場合は、紹介元の先生に登記を担当いただく形を取っていますが、この案件については出張面談が難しいとのことでしたので、私の方で登記まで担当いたしました。
実際に所有者様と面談をさせていただくと、原野商法に引っかかったということの後悔はあるとお話をされていましたが、印象的だったのは
「まだこの土地の価値があがると夢を見ている。いや、夢を見させてもらった。」
「ニセコエリアの開発が話題になるたびに、もっている土地の価値が上がっているのではないかと思った。」
というお話でした。
お話をされている途中で「いやいや、無理だよ。」とご長女様から突っ込まれていたのは面白かったです。
確かにニセコ、蘭越町エリアは外国人投資家による投資がかなり集まっており、近年の地価上昇ランキングでも全国的に上位になっている状況はありますが、土地の所在の特定も難しい場所はさすがにその恩恵を受けるのは難しいのではないだろうかと考えております。
1970年代に原野商法が流行してから、半世紀の歳月が流れ、現在はこの案件のように相続を待つような案件も増えてきております。
相続になる前に処分ができればいいですね。
成年後見人が選任されている案件
この案件も同業の司法書士の先生より釧路の土地の処分に困っている相談者がいると、ご紹介いただいた案件でしたが、土地所有者様の情報を登記簿で確認してみると、ご住所が介護施設の住所となっていました。
これはもしや・・・と思って確認してみると、やはり土地所有者様に『成年後見人』が選任されている案件でありました。
弁護士の先生が成年後見人として選任されていましたが、成年後見人が付いている案件だと、後見人の職責上、被後見人の財産処分には制限がかかり、例えば居住用の不動産の場合だと『家庭裁判所の許可』が必要の他、家庭裁判所と事前の打ち合わせが必要になります。
弊社サービスの性質上、お客様から費用を頂いて土地を引き受けるというモデルのため、果たして家庭裁判所はどういう反応をするのかと、個人的には興味津々だったわけですが、弁護士先生を通じて、家庭裁判所に照会をかけていただきましたが、家庭裁判所としては、『費用を支払ったとしても、処分ができることの経済的利益』を尊重してくれたのか、特段取引に問題が生じるようなことはありませんでした。
恐らく、今後相続財産管理人様からこのような案件が増えていく・・・ような気もしているのですが、負の財産処分となると、裁判所も柔軟な対応をしてくれるのでしょうかね。
普段の財産管理業務だと結構口うるさいイメージ(笑)でしたが、問題なく取引が終わってよかったです。
こちらの案件は弁護士先生より後見人として費用を頂戴し、登記は同業の司法書士の先生にて完了しています。
多数の原野商法に騙された事例
こちらの案件も同業の司法書士の先生より紹介いただいた案件ですが、相続がすでに発生しており、原野の処分で揉めに揉めていて、ご長男様が仕方なく名義を引き受けるとしていたような案件でありました。
まずは相続のお手続きの方から同業の先生に対応いただき、名義変更が完了した段階で、弊社名義に変更するという段取りでお引き受けをさせていただきました。
実際にご面談時にご長男様とお会いをすると、
『土地の処分って本当に大変なんですね。私は親から引き継いだ宅地も処分して、その上、市場価値のない原野まで処分となると、絶望していましたが先生に助けていただいて本当に感謝をしています。』
と大変感謝をいただき、私としてもこの事業を始めたきっかけで『相続の負の連鎖』から一人でも解放できたことを、心から嬉しく思っています。
実はこの案件では、複数の原野をお引き受けさせていただきましたが、原野商法被害者の共通点として、複数の地域の土地を持っていることが多くございます。
1970年代は、土地神話で『土地は持っていれば価値が上がるもの』と信じられていたように伝わっていますが、利便性の有無で不動産の価値は大きく変わりますし、確実に処分ができるような不動産でなければ所有してはいけません。
処分できなければ永久に相続人に迷惑をかけることとなりますので、不動産の購入を控えている方は注意をしましょう。
まとめ
以上、3つの事例を紹介させていただきました。
原野商法の被害を後世にのこさないため、北海道の原野商法でお困りの方は、ぜひ弊社までお問合せをいただければと存じます。
宜しくお願い申し上げます。