司法書士として活動をはじめて早いもので8年が経過しました。
これまで沢山のご相談を受けてまいりましたが、その中でも解決が非常に困難である「原野商法」についてのお話をさせていただきます。
ぜひお付き合いくださいませ。
原野商法とは
特に地域柄ではあるのですが、北海道では「原野商法」と呼ばれる詐欺が昭和40年~50年頃に横行しておりました。
全国的にもかなり被害件数が多かったのかなと推測しますが、約30万円~100万円という値段で、将来の値上がりがあるという触れ込みで、
多くの原野や山林、雑種地等の土地の売買が横行しました。
公図上ではきれいに区画整理されているものの、実際にその対象地に行くことは難しく、現状では場所を特定することさえ困難を極めます。
北海道全域でこの問題がありますが、私が相談を受ける中では下記の地域で被害がおおいように思います。
- 札幌市南区藤野
- 札幌市南区簾舞
- 札幌市西区平和
- 小樽市新光
- 白老町杜台、北吉原
- 伊達市北黄金町
- 苫小牧
- ニセコ町絹丘
などなど・・・・。
私が挙げた他の地域でも恐らくあるかと存じます。
原野商法の対象地を購入してしまうと、処分のできない、いらない不動産が相続財産となるばかりか、
将来にわたる相続登記などの手続き負担を負ってしまうこととなります。
多くの原野商法を行った詐欺業者は、ほとんどが会社を畳んでおり訴訟を行うこともできませんし、
何より将来的な価値の値上がりを期待したのは売主にも一定の責任があり、訴訟を行うことも簡単ではないと考えております。
原野商法の解決策
原野商法の解決策は大きく分けると2つになると考えられます。
1つは「相続土地国庫帰属制度」
2つめは「引取業者に引き取ってもらう」
順を追って解説します。
・相続土地国庫帰属制度
令和5年4月1日より、相続土地国庫帰属制度がスタートしました。
制度趣旨としては「所有者不明土地」があまりにも増えすぎてしまったために、対策の必要性が生じたことで制度としてスタートしました。
対象となる土地については一定の要件があり、国庫帰属の対象になるか審査が必要となります。
また、土地取得の原因が「相続」によるものでなければなりませんし、ある程度土地の所在についての特定ができなければなりません。
負担金が最低でも20万円、審査費用についても1筆あたり1万4000円の手数料が必要となり、
専門家に書類作成等を依頼した場合にはその報酬も加算されることとなります。
審査にも半年から1年程度の時間がかかるということもあり、北海道内では特に雪の影響で審査がさらに遅れる可能性もあるということです。
こういう状況では中々お客様にご提案することも難しいですが、制度としてスタートしたことは素晴らしいことです。
改善点は多々ありそうなので、より多くのお客様に使える制度になることを願っております。
・引取業者に引き取ってもらう
最近では有償で不動産を引取るサービスを提供している業者が増えているようです。
本当に不動産を引取ってくれるのならいいのですが、原野や山林に関わる案件では詐欺業者もいるとは思うので注意してほしいと思います。
また費用面でもかなり高額な業者がほとんどですので、想定になかった金額の請求などもゼロではないかと思いますので、注意してください。
弊所でも相続土地国庫帰属制度を受け、より使いやすいサービスとして2023年6月より株式会社を立ち上げ、有償で不動産を引取るサービスの提供を開始しました。
強みとしてはおそらく全国でも初の「司法書士」が運営するサービスということで、不動産に関するご相談を受けつつも不動産を手放すこともできるという内容になっております。
全国をみると他にも有償で不動産を引取るサービスを行っている業者もあるようですが、引取費用が30万円以上の業者がほとんどとなります。
弊所では原野・山林等の固定資産税がかかっていない土地については18万円ほど(登記費用込みの総額)で引取りを行っております。
処分のできない原野・山林等の土地でお困りのお客様はぜひ、弊所までご相談くださいませ。
(詳細には取扱業務のページをご参照くださいませ。)
まとめ
解決ができないと思っている問題も、相談をいただくことで前進することもあるかもしれません。
原野・山林の問題については、もっていて固定資産税がかかることはなかったとしても、多くのお客様にヒアリングをすると、やはり「相続時」の負担を強く感じられているということです。
遺産分割協議というのも骨の折れる作業ではありますが、その中に原野・山林等があると揉めますよね。
そういったお困りの方は、ぜひ手放す方法を前提の上で協議も進めていければ、よりスムーズなお話合いもできるかと考えております。
北海道・札幌のいらない不動産についてはぜひとも関根事務所に気軽にご相談くださいませ。
司法書士 関根陽介
(株式会社DUSTBOX 代表取締役)